作家は二度死ぬ

よく聞くタイトルですが、よく聞くやつとはちょっと意味が違います。

一つはもちろん肉体が滅びること。

もう一つは「生きている内に」に作品が廃れることです。

できれば死ぬのは一度にしたい。つまり作品が廃れることなく肉体が滅びることです。

さらに言えば、二度目の死は「死後」に自分の作品が忘れ去れる時がベストですね!これがこの言葉の本来の意味かな。


仕事がなくなる、注目されなくなる、絵が売れなくなる。これは本当にしんどい、間違いなく心が病みます。ブレイクした経験があれば尚更しんどい。ブレイク中の忙しい華やかな日々と比べるとあまりにも惨めでしょうから。


ブレイクとは延命か終焉か。

時代はどんどん変わっていきます。次から次に新しいスタイルが生まれ新しい作家が毎年の様に美大や専門学校から輩出されていく。それまで流行っていた人がリング外に押し出されていく。活躍できる場は限られているので当たり前です。皮肉ですが、ブレイクした人が華やかでかっこいい仕事をすればする程、新しい人たちはそれを目指します。

特に上手くブレイクしてしまうと、次の時代が来るとこれまで流行った分どうしても「古い」印象を持たれてしまいます。古いものを広告に使いたいとは絶対に思わないから。

ブレイクした後もずっと第一線で活躍している人もいます。片手で数えるくらいかもしれませんが確かにいます。彼らはブレイク後もその価値を保ち続けている。彼らにとってブレイクは作家人生の延命です。しかしほとんど多くの作家にとってブレイクはもうすぐ作家人生が終わることを意味します。(こ、怖い....言い過ぎかも)


先輩たちは若い人が作家を目指したいと相談すると殆どの場合、心の中では「やめておけ不幸になるぞ!!」って思ってます。優しい人なら嫌われることを覚悟でちゃんと言ってくれます。先輩たちはこの無理な構造を経験して不幸になることを知っているのに、それを隠して勢いのある若者を応援することはできないのです。

僕も30代前半まで、様々な人に言われました。先輩たちからは、ん、、、これはイジメなのか?と勘違いするかのような事を言われたしとにかく怒られた。「今なら間に合うからもう一度会社員に戻ったら」と優しく言わらたこともある。これらはその時はムカついたし落ち込みましたが、今思えばあの時言ってくれた先輩たち全員に感謝しています。見返してやろうと言うパワーになったし、厳しさが伝わったから対策が打てた。


話はそれますが、僕がtwitterでかなり厳しいことを呟いてますが、それはとても大それた事ですが先輩として若い絵描きを目指す人達へのメッセージです。つまり僕が先輩たちに怒ってもらったことをtwitterを通してやっています。プロの作家さんからしたらムカつくツイートばかりだと思いますが。ご勘弁ください。

後輩たちのためにと思ってツイートしてますが、苦言で嫌われた先に「感謝」があると思いやってるので、結局自分のためですね。


話を元に戻すと、ブレイクがそこまで作家人生を左右する重要ポイントなら、ブレイクしないというのも選択肢としてあるんじゃないかと思います。これは僕が考えたのではなくて先輩に教わりました。ブレイクしそうになったら絵柄スタイルを変える。ブレイクしそうになったら休む、仕事を断る。つまりコーヒーブレイクwww。

でも人間ブレイクしそうになった状態で、そこで集まってくる美味しい話を断ることができるだろうか?きっとできないでしょう。だから究極ですが「ずっと絵柄を変え続ける」と言う方法に行き着くのです。ブレイクしそう?みたいなことすらない。これを実行している人は僕も含め何人かいます。


はい、ちょっと極端な話をしてきましたが、何が言いたいかといえば、絵柄スタイルで勝負するな!!と言うことです。その絵を描いている作家のアーティストな生き様その痕跡としての作品を評価されろ!!と言うことです。

廃れる恐怖覚悟で一つのスタイルを人生で貫いてもいいし、この作家は若い時と晩年とスタイルが全然違う!ってのでも良い。これはその作家の活動の表側ではなく裏側の意識の問題です。


もしかしたらここからが本題

それに近年、僕らのこの熱い作品に対する情熱は日本国内にとどまらず海外へも伝わり始めている。つまり、活躍できる場であるリングが何十倍にも広がったと言えます。ブレイク後に作家人生を終わらさなくてもいい人が増えてきています。

国内で盛大にブレイクした後、海外でブレイクするこれがこれからのニューノーマルです。(使ってみたかったかっこいい!言い回し)

つまり、近年においてはできるだけ絵柄を変えるな!ってことかなwww。

全ては何も一概には言えない、結局、僕が伝えたいのは絵描きの良いところばかり見てるのではなくネガティブな部分も知って恐れて立ち向かえと言うことかもしれない。

結局言いたいことは、普通のことだった。牛木さん何が言いたいの?って思った人も多いかもだけど危機感が増したでしょ。それ。

ではまた!


※これは2022年12月僕が思ったこと。すぐにまた僕の意識も変わっていくでしょう。変わるのが好きだから。